109Ns(2019)A-71 Aさん(88 歳、男性)は、長女(60 歳、無職)と2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準ランクC2。仙骨部の褥瘡の治療のため、膀胱留置カテーテルを挿入することになった。膀胱留置カテーテルを挿入中のAさんを介護する長女に対して、訪問看護師が指導する内容で適切なのはどれか。
1.「褥瘡が治癒するまでおしりは洗浄しないでください」
2.「体位変換ごとに蓄尿バッグを空にしてください」
3.「カテーテルは太ももに固定してください」
4.「尿に浮遊物がないか確認してください」
医師国家試験にはないタイプの試験問題です。医学部学生さん、できましたか?看護学生さんたちにとってはそれほど難しくないかも知れませんね。
<問題文の読み方>
Aさん(88 歳、男性)は、長女(60 歳、無職)と2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準ランクC2。仙骨部の褥瘡の治療のため、膀胱留置カテーテルを挿入することになった。膀胱留置カテーテルを挿入中のAさんを介護する長女に対して、訪問看護師が指導する内容で適切なのはどれか。
<太字が必要な情報です>
症例 88歳、男性
寝たきり度 基準ランクC2、仙骨部の褥瘡
治療 仙骨部の褥瘡の治療のため、膀胱留置カテーテルを挿入
訪問看護師が指導する内容で適切なのはどれか。
<解説>
障害高齢者の日常生活自立度判定基準ランクC2は、寝たきりで自力寝返りも出来ない状態です(下記参考資料あり)。Jは生活自立、Aは生活に介助必要、Bは寝たきりだがベッドから離れられる、Cは完全にベッド上寝たきり、と覚えておきましょう。
1.「褥瘡が治癒するまでおしりは洗浄しないでください」 × 清潔を保つために洗って下さい!
2.「体位変換ごとに蓄尿バッグを空にしてください」 × 体位変換ごとに空にする必要はありません。
3.「カテーテルは太ももに固定してください」 × 腹壁測に固定が基本です。太ももへの固定は尿道への負担が増します。<追記>臨床の現場では固定しない場合もあります。カテーテルの固定はカテが抜けないようにする目的と尿道への負担を減らす目的があります。カテーテルは膀胱内でCuffが膨らんでおり、よっぽどの力をいれないと抜けませんので必ずしも固定する必要はありません。また一方向の固定は尿道への負担を増してしまうので、固定せずにfreeにしている方がよい場合があります。
4.「尿に浮遊物がないか確認してください」 〇 浮遊物が多い場合なカテーテル閉塞リスクが増すので、定期的な膀胱洗浄等などの対処が必要になります。血尿の有無や、尿混濁、浮遊物の有無などの尿の性状を確認することは看護観察上の基本事項になります。
よって、解答は(4)になります。
本症例は寝たきり度が高度の方で、褥瘡治療のため膀胱カテーテル留置を行ったということですが、排尿障害がない方への膀胱カテーテル留置は基本的には避けるべきだと私は思います。カテーテル留置に伴い、尿路感染リスクが増大するのみならず、身体が管につながることそのものが全身QOL低下を招くからです。本症例に対してはおむつ管理の工夫、コンドーム型の集尿器の使用などが推奨されます。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000077382.pdf
0 件のコメント:
コメントを投稿