2020年7月27日月曜日

025 [第109回看護師国家試験(2019年度) A-81] 基礎問題

109Ns(2019) A-81 交感神経の作用はどれか。2つ選べ。

1.散瞳

2.精神性発汗

3.腸蠕動の促進

4.排尿筋の収縮

5.グリコーゲン合成の促進

 

出た!なんとか神経。苦手な人が多いのではないのでしょうか。

普段の試験でせっかく覚えても、1カ月もすればすっかり抜け落ちて元の木阿弥。ゼロ!

私も苦手です・・・。でも、こんなところで点を落とすわけにもいかないので、覚えましょう。

 

神経を2つ大きく分けます。それぞれ2つの種類があります。

   体性神経 →運動神経、感覚神経

   自律神経 →交感神経、副交感神経

 

「体性神経」はわかりにくい言葉ですが、「運動神経」+「感覚神経」です。運動と感覚で体性、覚えちゃいましょう。

「自律神経」がわかりにくい!!「交感」と「副交感」は名前が似ているし、そもそも「自律」って意味がわからない!!

 

→では覚えかた。「自律」は「自分だけ勝手に~」という意味なので、「自律神経」は「神経が勝手に~」という意味です。自分の意志とは関係なく、神経が勝手に働いてしまう神経のことです。自律神経はプラスとマイナスの二つの神経にわけられます。すわわち、プラスの「交感神経」と、マイナスの「副交感神経」。これを翻訳すると、、、

 

「交感神経」は、戦いの神経!

「副交感神経」は、お休みの神経!

 

これだけです。これだけ覚えましょう。

では、これに当てはめて、問題を解いていきます。

 

1.散瞳                                     〇 戦うときは「カッ!」と目を見開きます。なので交感神経。

2.精神性発汗                            〇 戦うときは汗をかきます。

3.腸蠕動の促進                         × 戦うときに腸が動いてうんちが出たら、戦いに負けてしまいます。うんちをするときは、リラックスの神経である「副交感神経」が働きます。

4.排尿筋の収縮                         × 戦うときにおしっこをする暇はありません。排尿には副交感神経の働きが必要です。

5.グリコーゲン合成の促進          × これ難しいですね。戦うときは血中に糖分(グルコース)が必要となりますので、「交感神経」の働きでグリコーゲンを分解して、血糖値を上げて戦いの準備をします。逆に、戦わないときはエネルギーを蓄えておく必要があるので、お休みの神経の「副交感神経」を働かせて、グルコースからグリコーゲンを合成して蓄めていきます。これらは肝臓のなかで繰り広げられます。

すい臓での働きも同様で、インシュリンが分泌されると血糖値が下がるので、これは副交感神経、グルカゴンが分泌されると血糖値が上がるので、これは交感神経。難しくありません。戦いにはエネルギーが必要で、「交感神経」。安らぎにはエネルギーを蓄積するので「副交感神経」です。

 

            交感神経                        副交感神経

肝臓      グリコーゲン分解            グリコーゲン合成

すい臓   グルカゴン分泌               インスリン分泌

 

よって、解答は1,2です。

 

<参考URL                                                           

http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/community-medicine/child/jiritsu/jiritsu_2.htm

宮崎大学医学部総合診療の資料です。自律神経がよくまとまっています。


024 [第109回看護師国家試験(2019年度) A-78] 尿路基礎

109Ns(2019)A-78 排尿時に収縮するのはどれか。

1.尿管

2.尿道

3.膀胱平滑筋

4.内尿道括約筋

5.外尿道括約筋

 

基本問題ですね。膀胱の基本運動は2つからなります。1つは「蓄尿」:尿をためることです。もう1つは「排尿」:尿を出すことです。排尿とともに畜尿に関しても問題としてよく問われますので、よく整理して理解してください。

 

1.尿管                         ×          腎臓と膀胱を結び、自律的に尿を運びます。畜尿・排尿とは関係がありません。

2.尿道                         ×          膀胱より遠位が尿道です。尿管と間違えないように。

3.膀胱平滑筋                         排尿時に平滑筋が収縮して膀胱が小さくなり、排尿します。

4.内尿道括約筋             ×          膀胱頸部にある輪状の平滑筋。交感神経の支配を受け、排尿を自動的に制御します。畜尿時に収縮、排尿時には弛緩します。

5.外尿道括約筋             ×          尿道が骨盤底を出る部位の輪状の横紋筋。骨盤底筋の一つ。陰部神経に支配され、排尿を制御する。畜尿時に収縮、排尿時には弛緩します。

 

よって正解は(3)になります。


2020年7月24日金曜日

023 [第109回看護師国家試験(2019年度) A-71] 88歳、男性 寝たきり度C2、膀胱留置カテーテル管理 

109Ns(2019)A-71 Aさん(88 歳、男性)は、長女(60 歳、無職)と2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準ランクC2。仙骨部の褥瘡の治療のため、膀胱留置カテーテルを挿入することになった。膀胱留置カテーテルを挿入中のAさんを介護する長女に対して、訪問看護師が指導する内容で適切なのはどれか。

 

1.「褥瘡が治癒するまでおしりは洗浄しないでください」

2.「体位変換ごとに蓄尿バッグを空にしてください」

3.「カテーテルは太ももに固定してください」

4.「尿に浮遊物がないか確認してください」

 

医師国家試験にはないタイプの試験問題です。医学部学生さん、できましたか?看護学生さんたちにとってはそれほど難しくないかも知れませんね。

 

<問題文の読み方>

Aさん(88 歳、男性)は、長女(60 歳、無職)と2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準ランクC2仙骨部の褥瘡の治療のため、膀胱留置カテーテルを挿入することになった。膀胱留置カテーテルを挿入中のAさんを介護する長女に対して、訪問看護師が指導する内容で適切なのはどれか。

 

<太字が必要な情報です>

症例                88歳、男性

寝たきり度         基準ランクC2、仙骨部の褥瘡

治療                  仙骨部の褥瘡の治療のため、膀胱留置カテーテルを挿入

訪問看護師が指導する内容で適切なのはどれか。

 

<解説>

障害高齢者の日常生活自立度判定基準ランクC2は、寝たきりで自力寝返りも出来ない状態です(下記参考資料あり)。Jは生活自立Aは生活に介助必要Bは寝たきりだがベッドから離れられるCは完全にベッド上寝たきり、と覚えておきましょう。

 

1「褥瘡が治癒するまでおしりは洗浄しないでください」       × 清潔を保つために洗って下さい!

2「体位変換ごとに蓄尿バッグを空にしてください」             × 体位変換ごとに空にする必要はありません。

3「カテーテルは太ももに固定してください」                      × 腹壁測に固定が基本です。太ももへの固定は尿道への負担が増します。<追記>臨床の現場では固定しない場合もあります。カテーテルの固定はカテが抜けないようにする目的と尿道への負担を減らす目的があります。カテーテルは膀胱内でCuffが膨らんでおり、よっぽどの力をいれないと抜けませんので必ずしも固定する必要はありません。また一方向の固定は尿道への負担を増してしまうので、固定せずにfreeにしている方がよい場合があります。

4「尿に浮遊物がないか確認してください」                         〇 浮遊物が多い場合なカテーテル閉塞リスクが増すので、定期的な膀胱洗浄等などの対処が必要になります。血尿の有無や、尿混濁、浮遊物の有無などの尿の性状を確認することは看護観察上の基本事項になります。

 

よって、解答は(4)になります。

 

本症例は寝たきり度が高度の方で、褥瘡治療のため膀胱カテーテル留置を行ったということですが、排尿障害がない方への膀胱カテーテル留置は基本的には避けるべきだと私は思います。カテーテル留置に伴い、尿路感染リスクが増大するのみならず、身体が管につながることそのものが全身QOL低下を招くからです。本症例に対してはおむつ管理の工夫、コンドーム型の集尿器の使用などが推奨されます。

 

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000077382.pdf

厚生労働省 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)pdf