109Ns(2019) B-33
成人の急性腎盂腎炎で正しいのはどれか。
1.男性に多い。
2.両腎性が多い。
3.初尿を用いて細菌培養を行う。
4.原因菌はGram(グラム)陰性桿菌が多い。
<解説> 急性腎盂腎炎という病気を知っておく必要があります。尿の通り道は整理できていますか?腎臓実質内の糸球体で毛細血管から原尿として排出された一番最初の尿は、尿細管で再吸収と分泌を受けて本来の尿として成長していきます。集合管で集められたあと、いよいよ「尿」としてデビューします。最初に現れるのが腎盂の一番端っこの腎杯です。その後腎盂に集まり、尿管を下って、膀胱にたまります。ここまで無意識、誰も尿の存在を感じることはできません。膀胱に尿がたまって膀胱が膨れてくると初めて人間は尿を感じ取ることができます。そして最後に尿道を通して尿を排出します。腎盂・尿管・膀胱・尿道の位置関係は大丈夫ですか?基本中の基本なので、順番を間違えないように。
膀胱にばい菌(細菌)が入り込み、炎症を起こしてしまうのが膀胱炎。急性に発症するのが急性膀胱炎。さらに細菌が尿管を駆け上がり、腎盂にまで達して、腎臓内で炎症を起こしてしまうのが腎盂腎炎。急性に発症するのが急性腎盂腎炎。膀胱は「袋」、腎臓は「実」であることを考えると、急性膀胱炎は袋の炎症なので発熱なし。急性腎盂腎炎は実の炎症なので高熱を出します。女性は尿道が短いので、膀胱内へ細菌が侵入しやすく、急性膀胱炎を発症しやすいです。それゆえ、急性腎盂腎炎も女性が多い。両方の腎臓が同時に急性腎盂腎炎になることはめったにありません。ほぼ見たことないです。膀胱内の尿は全体が感染尿なので、初尿を用いる必要はありません。急性膀胱炎の起因菌の代表はなんでしたっけ?そう、大腸菌です。大腸菌はグラム陰性桿菌です。よって、急性腎盂腎炎の起因菌の代表はグラム陰性桿菌です。
1.男性に多い。 × 女性に多い
2.両腎性が多い。 × 右か左かのどちらか。片側性です。
3.初尿を用いて細菌培養を行う。 × 初尿を用いる必要は全くありません。
4.原因菌はGram(グラム)陰性桿菌が多い。〇 大腸菌はグラム陰性桿菌です。
よって4.が正解です。できましたか?
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