E-39
71 歳の男性。6か月前からの排尿困難と夜間頻尿を主訴に来院した。既往歴および家族歴に特記すべきことはない。身長 162 cm、体重 60 kg。体温
36.4 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 154/82 mmHg。呼吸数 14/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直腸指診で横径 40 mm 程度の前立腺を触知するが硬結を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球と白血球とを認めない。血清 PSA 2.5ng/mL(基準4.0 以下)。国際前立腺症状スコア
28点 (軽症0〜7点、中等症8〜19点、重症 20〜35点)。腹部超音波検査で推定前立腺体積 60 mL。尿流測定で排尿量 120 mL、最大尿流率 2.5 mL/秒、残尿量 240 mL。治療薬として適切でないのはどれか。
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a α1 遮断薬
b 抗コリン薬
c 抗男性ホルモン薬
d 5 α
還元酵素阻害薬
e PDE 5(phosphodiesterase
5)阻害薬
<問題文の読み方>
71 歳の男性。6か月前からの排尿困難と夜間頻尿を主訴に来院した。既往歴および家族歴に特記すべきことはない。身長 162 cm、体重 60 kg。体温
36.4 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 154/82 mmHg。呼吸数 14/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直腸指診で横径 40 mm 程度の前立腺を触知するが硬結を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球と白血球とを認めない。血清 PSA 2.5ng/mL(基準4.0 以下)。国際前立腺症状スコア 28点 (軽症0〜7点、中等症8〜19点、重症 20〜35点)。腹部超音波検査で推定前立腺体積 60 mL。尿流測定で排尿量 120 mL、最大尿流率 2.5 mL/秒、残尿量 240 mL。治療薬として適切でないのはどれか。
太字が必要な情報です。
年齢性別: 71
歳の男性
主訴: 6か月前からの排尿困難と夜間頻尿
問診: 国際前立腺症状スコア 28点
理学所見: 直腸指診で横径 40 mm 程度の前立腺を触知
画像評価: 腹部超音波検査で推定前立腺体積 60 mL
尿流検査: 排尿量 120 mL、最大尿流率 2.5 mL/秒、残尿量 240 mL
設問: 治療薬として適切でないのはどれか。
の順に追っていきます。
<解説>
本症例において、前立腺肥大症の診断は容易です。前立腺肥大症の治療薬は頻出であり、覚えおく必要があります。「頻尿の訴え」のみを聞いて、「膀胱の活動性を抑える薬」(=抗コリン薬)を処方すると、尿閉を誘発してしまうことになります。実際の臨床で時に遭遇する間違った治療です。気を付けてください。答えは(b)になります。この間違った処方は、高齢女性の頻尿の訴えでおきることもあり、頻尿の原因が神経因性膀胱で残尿が多い状態で抗コリン薬を処方内服してしまうと尿閉を引き起こしてしまうケースが少なからずあります。決して処方しないように。
a α1 遮断薬 〇
b 抗コリン薬 × 膀胱収縮を抑制し、尿閉を誘発する可能性あり。
c 抗男性ホルモン薬 〇(△)
d 5 α
還元酵素阻害薬 〇
e PDE 5(phosphodiesterase
5)阻害薬 〇
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