D-57
65 歳の女性。発熱と悪寒を主訴に来院した。意識レベルは JCSⅡ-10。身長 155cm、体
重 68 kg。体 温 38.8 ℃。脈 拍 96/分、整。血 圧 92/52 mmHg。呼吸数28分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右背部叩打痛を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)、ケトン体(-)、潜血1+、沈渣は赤血球 10〜50/HPF、白血球50〜99/HPF。血液所見:赤血球434 万、Hb 11.8 g/dL、Ht 37 %、白血球2,200、血小板 22 万。血液生化学所見:総蛋白 6.5 g/dL、アルブミン 2.8 g/dL、AST 19 U/L、ALT 19 U/L、尿素窒素 12 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL。CRP21 mg/dL。血液培養と尿培養の検体を採取し、生理食塩液による輸液を行ったが、血圧低下の改善はみられず、カテコラミンと抗菌薬の投与を開始した。腹部CT別冊No. 25A、Bを別に示す。
直ちに行うべき処置はどれか。
a 尿道切開術
b 膀胱瘻造設
c 経尿道的尿管砕石術
d 尿管ステント留置術
e 体外衝撃波結石破砕術
<問題文の読み方>
65 歳の女性。発熱と悪寒を主訴に来院した。意識レベルは JCSⅡ-10。身長 155cm、体 重 68 kg。体 温 38.8 ℃。脈 拍 96/分、整。血 圧 92/52 mmHg。呼吸数28分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右背部叩打痛を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)、ケトン体(-)、潜血1+、沈渣は赤血球 10〜50/HPF、白血球50〜99/HPF。血液所見:赤血球434 万、Hb 11.8 g/dL、Ht
37 %、白血球2,200、血小板 22 万。血液生化学所見:総蛋白 6.5 g/dL、アルブミン 2.8 g/dL、AST 19 U/L、ALT 19 U/L、尿素窒素 12 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL。CRP21 mg/dL。血液培養と尿培養の検体を採取し、生理食塩液による輸液を行ったが、血圧低下の改善はみられず、カテコラミンと抗菌薬の投与を開始した。腹部CT別冊No. 25A、Bを別に示す。
直ちに行うべき処置はどれか。
太字が必要な情報です。
年齢性別: 65
歳の女性
主訴: 発熱と悪寒
理学所見: 意識レベル JCSⅡ-10、右背部叩打痛
検査結果: 尿白血球50〜99/HPF L、白血球2,200、CRP21 mg/dL
臨床情報: 生理食塩液による輸液を行ったが、血圧低下の改善はみられず、カテコラミンと抗菌薬の投与を開始
設問: 直ちに行うべき処置はどれか。
の順に追っていきます。
<解説>
CTで右水腎(A)、右尿管結石(B)が診断されます。本文からは重症尿路感染症で、ショック状態。白血球が低下するほどの重症で危険な状態です。よって、結石関連性急性腎盂腎炎によるショック状態と診断されます。全身管理をしつつ感染源のドレナージ、すなわち右水腎の改善の処置が必要です。
尿路閉塞症状を伴う重症尿路感染症はショックで心肺停止を引き起こす場合もあり、緊急処置が必要な疾患です。
a 尿道切開術 × 尿道は関係ありません。
b 膀胱瘻造設 × 膀胱が問題ではありません。
c 経尿道的尿管砕石術 × 活動性の尿路感染の状態での施行は禁忌です。
d 尿管ステント留置術 〇 正解
e 体外衝撃波結石破砕術 × 活動性の尿路感染の状態での施行は禁忌です。
よって(d)が正解になります。実際の臨床では、腎瘻による尿流確保のほうが確実なので、腎瘻とするか尿管ステントを行うかどうかを検討します。ショックにより心肺停止に至り、気管内挿管腎盂呼吸に至ったなかで、緊急で腎瘻による尿流確保を行うことが時に遭遇します。体位の保持が制限されるなど、難易度の高い腎瘻造設ですが、必ず成功させなければなりません。上部尿路閉塞+尿路感染症は命に関わる重大な病であることを覚えておいて下さい。
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