2020年6月9日火曜日

005 [第114回医師国家試験 A-57] 1歳6カ月男児、出生時外陰部異常


A-57
16か月の男児。出生時に外陰部の異常を指摘されていたが転居を契機に紹介され受診した。在胎39 週、出生体重3,180 gApgarスコア8点(1分)­10 点(5分)で出生した。体重10 kg、体温36.5 ℃。脈拍92/分、整。SpO2 97 %room Air­。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。亀頭の一部は包皮から露出し、外尿道口は陰茎と陰囊の移行部に確認できる。外陰部の写真別冊No. 27A、B­を別に示す。この患児にみられるのはどれか。

a 血尿
b 尿閉
c 水腎症
d 陰茎の屈曲
e 真性尿失禁

<問題文の読み方>
16か月の男児出生時に外陰部の異常を指摘されていたが転居を契機に紹介され受診した。在胎39 週、出生体重3,180 gApgarスコア8点(1分)­10 点(5分)で出生した。体重10 kg、体温36.5 ℃。脈拍92/分、整。SpO2 97 %room Air­。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。亀頭の一部は包皮から露出し、外尿道口は陰茎と陰囊の移行部に確認できる。外陰部の写真別冊No. 27A、B­を別に示す。この患児にみられるのはどれか

太字が必要な情報です。
年齢性別:         16か月の男児
主訴:               出生時に外陰部の異常
臨床所見:         外尿道口は陰茎と陰囊の移行部に確認
設問:               この患児にみられるのはどれか
の順に追っていきます。

<解説>
厚生労働省ホームページ上で写真は非公開となっています。問題文中の「外尿道口は陰茎と陰囊の移行部に確認できる」より、尿道下裂の症例と診断されます。尿道下裂は陰茎の湾曲をしばしば伴うため、(d)が正解になります。小児泌尿器の分野も出題されますので、尿道下裂のほか、停留精巣もおさえておく必要があります。

a 血尿              × 尿所見は正常
b 尿閉              × 排尿障害なし
c 水腎症           × 上部尿路への影響なし
d 陰茎の屈曲    
e 真性尿失禁     × 排尿障害なし

<尿道下裂まとめ>
疾患の概念:尿道下裂とは、尿道が陰茎の先端(亀頭)まで形成されずに、陰茎の腹側(本人から見ると陰茎の裏側)におしっこの出る口(外尿道口)がある状態。典型的例では、包皮が陰茎の背側(本人から見ると陰茎の表側)にかたより、亀頭露出。また陰茎が下向きに曲がる傾向あり。
疾患の成因:原因不明。低出生体重児に多い。性分化疾患にともなう場合もある。
疾患の症状:立位での排尿がちらばる。排尿困難はない。陰茎の曲がりが強い場合は、将来の性交に支障をきたす可能性あり。
診断・検査:外尿道口の位置や陰茎の屈曲を確認。停留精巣をともなうことがあり、精巣の位置などをチェック。
治療:外科手術(尿道形成術)。
予後:尿道下裂の手術で作成した尿道は陰茎とともに成長する。精巣(睾丸)の機能に問題がなく、性交に支障がなければ、子供を得ることは可能。手術後は、排尿などに問題がないか、経過を見る。

<リンク>
日本小児泌尿器科学会 https://jspu.jp/ippan_017.html

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